第6章 スカビオサの予兆
どこかぼうっとしたままの頭で、彼にくっついて朝食を作ってもらい、また彼にくっついてテーブルに…
「…どうやって食うつもり?」
『?ご飯より中也…♡』
「食え。食わねえならやらん」
『え……、だ、め…?…駄目、??』
「おま、…あ……ああああ、食わせてやっから膝座れもう!!!仕方ねえなぁったく!!?仕方なくだからな!!!?」
『中也だぁいすき…ッ!!!♡』
「てめ、膝っつったの聞いてたか!!?」
全力で彼に向かって飛び付いたら、それを受け止めて、突っ込みながらも抱っこしてくれる。
いくら言っても足りないの。
こんなに嬉しいの、初めて。
「…ほら、今日エッグベネディクトにしてみたんだ。だいぶ上手くなったろ俺も…お前が好きだっつってたから、今日は特別に『中也の方が好き』え?あ、ああ、ありがとうな」
『!!り、リア、エッグベネディクトよりフレンチトーストよりプリンより、中也が好きよ!?』
「おお、どうしたどうした、つか基準全部食いもんかよ」
『ち、違うからね!?中也よりも好きって意味じゃ「わーった、わーった!!信頼してるからとっとと食っちまえ、冷めちまうと折角作った俺が少し落ち込んじまうぞ、いいのか」食べる!!!』
はい口開けてー、と言われるのに合わせて口を開け、彼に食べさせてもらっていく。
至福のひとときとはまさにこの事か。
『…中也、リアの専業主夫にならない?』
「え?なんでだよ、料理お前が作った方が美味いのに」
こういうことをするから、この人は。
当然だろうと言うようにして言ってのけてしまうこの人は、天然たらしという人種なのだろうか。
『……♡』
「尻尾揺れてる、めっちゃ揺れてる」
『で、でもリア主婦さんになっちゃったら中也とお仕事できない…?』
「おっと、そりゃ困る。俺の癒しがなくなっちまうじゃねえか」
『リア一生中也のM奴隷として生きてゆきます…♡』
「リアちゃんお勉強だぁ、いいか?まず俺にその趣味は無い、OK?」
『…リアのこと飼いたくなぁい?…す、好き放題扱って、意地悪しても何してもいいのよ…??』
「俺はそっちより、存分に可愛がって愛でて甘やかしてもう一人で生きていけねぇくらいのダメ人間にしちまいてえよ」
こういうことを!!!
さらっと!!!言うから!!!!
『ふぇ、…』
「おい、戻ってこいリア」