第6章 スカビオサの予兆
「分かったかよ、体力底なしの俺相手に変にああいうことすっとどうなるか」
『ぁ、…キ、ス……もっ、と…♡』
「良い子は寝ちまいな、それまでもうお預けだ」
なんて言いながら額に口付けて、弱いところを指でク、と圧迫して、頭が真っ白にさせられる。
そしてなんと言ってもこの人は…明るくなってきたからか、私の身体を見ようとしないでそれをやってのけてくれてしまう。
本番までいかずとも、私を溺れさせようとしてくれてしまう。
こんなの…好きにならないわけがない。
完敗だ。
思い切り仰け反らせた背中がベッドにまた落ちると指が抜かれ、それを舐め取られてまた撫でられて。
あまりの恥ずかしさに枕に顔を埋めるも、それを持続させる力さえ入らずに、簡単に彼に顔を見られてしまう。
「ま、流石にそろそろ容赦してやりますよ…今日は終始気持ちよさそうにしてくれてたしなぁ」
怖く、なかった。
ただの一瞬も、ほんの刹那も、微塵も恐怖を感じなかった。
達しすぎていることにさえ、気持ちよすぎることにさえ。
彼は、私の許容量をたった数回の触れ合いで測り切ってしまったのだ。
同じ人とこんなにも触れ合ったのは初めてだから、こんな感覚、初めてで。
頷くしかない。
私が一番、意味がわかっていない。
なにこれ。
この人…こっちの才能あるんじゃ…?
「はい、手ぇ退けて。特別サービスで俺が服全部脱がしてやるよ」
『…ん、』
「……おい、まだ片腕残ってんぞ。汗かいて気持ち悪ぃだろ、服だけでも脱げ」
『中原さん、好き…好き。…すき……っ』
「触られてるだけでそんな感じてるくせして煽ってくんな…っ、…どっか痛くなかった?」
『大好き…っ、♡』
「ああ…はい。……分かった」
溢れて止まない好きを込めて、いっぱい伝える。
言葉にして…キスをして。
頬に、首に、肩に、鎖骨に。
今の自分が届くところ全てに。
「…分かった、からその…な?…一旦落ち着け、伝わってるからいっぱい………っ、リア、?…名前、…な?」
『ぁ、…ちゅぅ、や』
あたたかくて、じんわり響いて。
名前を呼ぶだけで、頭蕩けちゃう。
『ちゅうや……、す、き…だいすき…♡♡』
「手前いい加減にしねぇと腰使いもんにならなくなるくらいにぶち犯すぞおい」
『犯していいもう♡♡』
「いいわけあるか!!!!?何で余計に懐いてんだ馬鹿!」