第6章 スカビオサの予兆
本格的に探偵社と組合を衝突させたことにより、三つ巴の抗争が本格化する。
それに合わせて、準幹部なんかの私には勿論護衛として何故か幹部様がつけられてしまうわけなのだが。
『……座ってるのがしんどい。呼吸するのが面倒くさい』
「おーおー、だれてんなぁまた。充電不足かいお嬢様?」
『不足ぅ…!!』
パタパタと尻尾を上下させて視覚化させてみれば、簡単に彼は甘やかしに来てくれる。
いや、別に勉強するのがしんどい訳では無いのだけれど?
勉強…というのも、飛び級用の数々の試験に向けての対策というか、一応の知識の確認程度なのだが。
正直私の能力があれば、勉強という程のことでもないし。
だからこそ、だれる。
もう帰宅してから四時間は粘ったもの、いいじゃないそろそろ、書類片付けて次の作戦立案をしてそれを押し通してのお勉強なのよ。
はいよ、と目の前に置かれる温かい紅茶にぱあ、と目の前が明るくなった。
「分かりやす…」
『ごめんね中也さん、構ってあげられなくて…寂しいでしょうけど我慢してねワンワン』
「とか言いつつ抱きついてきてたら説得力ねぇぞ、おい」
『中也さん我慢したもんッ!!』
ガバッと講義の声をあげるも、はいはい、と流される。
ほんとなのに。
「我慢っつったって、同じ部屋にいたじゃねえか。まあ俺は仕事してたけど」
『仕事?は?何仕事とかしてんの、何持ち帰ってんの何残ってたの、死んでいい??』
「待て、なんでそうなった」
『中也さんがお仕事家に持ち帰るなんて、そんなのリアの不行きとどきのせいでしょう!!?今まで死ぬ気で潰してたのになんで今日に限って仕事が残っ「やっぱりお前俺の仕事勝手に肩代わりしてやがったな!?ああ!!?オーバーワークだぼけ、とっとと寝ろ餓鬼は!!」餓鬼ですって!?そ、それが…か、……か、仮にも…好きな人に対する物言いなんです、か』
自信が無くなるのと共に覇気まで消えていく。
餓鬼ってまた言われた。
「あ?そういうのがあったとしても、まだ子供なのに変わりはねぇだろ。俺といるからには出来るだけ健全な暮らしを送らせるからな。勝手に仕事量増やすな、いいか?」
『…』
これみよがしにシャツのボタンを外していく。
が、彼も少し意地になっているのか突っ込むのをグッと堪えられているようだった。
『……いいもん、今日連勝のとこで寝るもん』