第5章 蛋白石の下準備
「そもそも首領が言ってたろ、Qをぶつける所には太宰の野郎もつけとく予定だって。……すみません、アップルパイもう三つ」
『は?太宰さん付けるとか最低条件に決まってるでしょ、ていうか太宰さんのとこに迷惑かけに行くとか信じらんな「アップルパイあと三つ待てや」アップルパイ…♪』
さっきから絶え間なく耐え続けられる甘味。
狙ったな。
中也さんのくせに。
しかも妙に的確に私の食べたいものばかりをチョイスして…ていうかこんなに食べてたら凄い額になってそうな。
そこまで頭が回ったところで、ガタ、と席を立つ。
『…わ、たし計算せずに食べてた…な、中原さん、今からでもアップルパイキャンセルしてもらっ「あ、すみません、マンゴーパフェも追加で」なんでまだ頼んでるんですか!!!』
「は?お前好きだろ?」
『そういう問題じゃなくて!』
ただでさえ、頼りきっているのに。
『…い、いい。もう自分の分くらい払っ、……中原さん、お願いだから』
「中原さん?」
『っ…中也、さん……こんなに、されると困る』
「お前ほんと真面目だよなぁ?いいぞ、もっと困っちまえ。その方が大人しくなっていいってもんだ」
ピクリ、彼の言葉を拾って、つい言葉の裏をかくような真似をしてしまう。
『あ、えと…じゃ、じゃあ大人しくする、からっ』
「あー…えっと、どうした?本当に気にしなくていいんだけど?お前相手くらいにしか使うもん無ぇし、蜻蛉んとこからもらってるシークレットサービスの給料分だと思えよ」
『い、いい子にするから…言うこと聞くから、お願い』
こんなわがまま、望んでないの。
私は貴方がいてくれるだけで、それだけでいいのに。
「あの、しなくていいんだけど?って、分かってるか?」
『……つ、疲れた?わ、私が無茶苦茶言うから、中原さん愛想尽かし「待て待て待て、一旦落ち着け!?何がどうしてそうなった!!!」だ、って…おとなしいほうが、いいって』
「ああ、まあ確かにちったぁ可愛らしくな『だ、から…だか、ら……困ってるから、こんなにさせてるなら、やめるからって、…』…そうだな、じゃあ太宰の元に駆け付けるのはやめておこうか」
こくりと首を縦に振る。
私、この人に捨てられたら生きていけない。
「よーし、じゃあいい子のリアにはアイスも食べてもらおうか」
『へ、…ま、って、…聞いてな、』