第5章 蛋白石の下準備
渡したのは、日付と時刻の記された一枚の紙。
「これは?」
「組合の奴らを餌で釣った。そこにある時間にその場所に行きゃ、すぐに捕まえられんぜ?にっくき組合に一泡ふかせてやれよ」
『ちょっと、マークくん巻き込んだら殴るからね??』
「巻き込まねえ上になんで懐いてんだよ手前は」
『…さあ、』
ここで機嫌が少しよくなる。
結構独占欲強めなんだなぁ、なんて。
『ていうか詐欺みたいなことやめてもらえません?私やだって言ったのに勝手に実行したんだからあのロリコン』
「お前本当にやめとけ?いい子いい子してやるからそろそろ機嫌直せ??」
『い、や、よ!!!』
中也さんの手から離れたそれを裏に向けてもらえば、釣った組合の二人が写った写真。
そして、探偵社の事務員さんとナオミさんの居場所を伝えて釣ったのだととっとと説明した。
「何、!?」
『今から向かえば十分に間に合います。うちのワンワンがもたもたしてるせいで言うの遅くなってすみません』
「誰がワンワンだこのやろ、ッ」
「…乱歩さん!!」
オフェンスをそちらに向かわせる事が決定されたことが、監視カメラを通じて伝わってくる。
悟りの能力なんて、あんまり使いたくないのだけれど。
『で?あの人、このやり方押し通したってんならリアが動いても文句ないのよね?』
「おい待て、お前何考えてる、ダメだからな?」
『作戦参謀が作戦立案してるんだからよくない?ほら、探偵社に恩を売るって名目とかにしとけばそれっぽくなるって』
「やめとけっつってんだろ、そんなことしてみろ、首領そろそろ泣くぞ」
『リアが泣いたのはいいんだ?へえ、そう、そういう人なんだ中也さんって』
「最低だね、そんな男やめて太宰にしときな、リア」
「白縹さんも苦労してるんですね…そんなところ辞めて探偵社に来てはいかがです?」
「手前ら何うちのリアに吹き込んでんだよ!!!!」
あっ、ちなみに僕的にもリアちゃんなら大歓迎だからね〜
監視カメラから乱歩さんの声で返事までいただけた。
しかしそれでは意味が無い。
私がいる意味はただ一つ、この人の為に在りたいからだ。
『うちの?あっそう、じゃあリアがポートマフィア抜けたらうちのじゃなくなるのね、へええ』
「はぁ!?手前そもそも俺のだろうがよ、ふざけた事言ってんなケーキ食い行くぞ!!」
『!…はい♡』