第5章 蛋白石の下準備
「久しいねぇリアちゃん、元気にしてる?」
「リンタロウ最ッ低、リアに話しかけないで」
『エリス嬢のおかげで元気です』
「中也君、助けて??」
自分でまいた種というか、仕方がないというか。
リアが首領に対して拗ねているのはどっちもどっちだということがわかっている分、どのようにフォローに回ればいいのかが分からない。
「俺に助けられるならとっくにそうしてるのですが…」
『…リアより首領とお喋りしてるのはどのお口?塞いで欲しい??』
このように、両手を頬に添えられてキスを迫られる始末。
相当根に持っているらしい。
あの行為自体をというより、自分よりも首領の言葉に従わざるを得ない状況にされたことに対してだが。
「あ、あらぁ…仲良くなったのね君達?」
『首領よりはね』
「……拗ねてない方が可愛らしいと思うけど」
『リアぜーんぜん拗ねてない♡首領大好き!二十番目くらいに!』
「具体的にどうもありがとうリアちゃん、今日も可愛いよ」
『部下に何仰ってるんですか?セクハラで訴えますよ…?』
「この落差!!!」
まあ、心の奥底から悪い相手ではないと理解しているからこそのあしらい方なのだろう。
首領がそうでなかったならば、恐らく逃げたいと俺に懇願しているはずだから。
『で、次の任務のご依頼でしょう?中也さんに行かせるって聞いたんですけど、それ私じゃだめなんですか?』
「相手は武装探偵社だからねぇ。異能力者相手になると、リアちゃんじゃちょっと相性わるいかなぁって」
『どうしてですか?』
「手加減出来なくなったら本当に消しちゃいかねないでしょう??」
聞き捨てならない単語が聞こえた。
まて、どういうことだ、分が悪いという意味ではないのか?
先祖返りの力をほとんど理解していない俺にはリアの力の全貌は分からない。
しかし、その力を使わずして準幹部になるほどの実力を持つ人間だ。
『……中也さんに髪の毛一本でも触れたら許せないから、着いてっていいですか??』
「許せないって…えっと?……参戦する気満々になってない?リアちゃん」
『触れなければいいだけです。あとリアより会話するのもダメ、目見るのも許さない』
「首領、こいつ別の任務を与え「僕リアちゃんに大きな借りがあるでしょう?」…」
あの件のせいで我儘は聞きたいですってか。
…大丈夫か?俺。