第5章 蛋白石の下準備
ペアで購入したそれのレディース側を自分で付ける。
彼のサイズなど把握済だ、とっくの昔に測って記憶している。
『…これで分かんなかったら路地にでも連れ込んで襲ってやろ』
「!…おい、あれ学生じゃね?どっからどう見ても十代っぽいぞ」
「おお、しかも肌白…手脚細くて胸デカイって、あれ上玉じゃね?」
…早く出た方が良さそうだ。
ショッピングモールの入口に向かって早足で歩いていく。
よからぬ輩から向けられる感情には敏感な方なのだ、これでも慣れている方だから。
だから、モールを出て元いた場所まで戻ろうとするのだが。
中也が、いない。
しまった、私の方からしかあの人の居場所なんて分からないのに、焦りすぎた。
「そこの女子、ちょっとこっち向いて〜?」
パシ、と手首を取ろうとしたその手を叩き払う。
『遠慮。私彼氏待ってるから』
「おお、平日昼間からデートかよ?じゃあその彼氏さんとやらが来るまでの間話そ?旨い儲け話があるんだけど」
「回りくどいぞお前、人が来る前に攫った方が早いだろどう考えても」
再度触れようとする手を叩く…のだが、相手側の手は四本だ。
その気になられて、簡単に絡め取られてしまう。
物理的に回避は無理があったようだ。
キツく握られた手首に眉を顰め、引かれるのに抵抗する。
『あの…、人呼びますよ』
「人?そりゃ面倒いな…人呼びたくなくなるように先にちょっとおイタしとこうか」
『は?何言っ、…ちょ……え、待ッ…』
胸元に迫った手が、ベストとシャツのボタンを外していく。
ベストに至っては全て外され、シャツも姿勢によっては下着姿が見えてしまうほどには外されていた。
見られるのくらいなら、別に問題は無いのだけれど。
いや、でも私は別に…この人達や他の人達に見られたいわけじゃ…__
「おお、えらく可愛らしい嬢さん連れてんなぁ。今から手篭めにすんの?俺も混ぜてくれよ」
「おお?この状況で入ってくるなんて中々のやり手じゃんお兄さん!」
「おう、その通り中々のやり手だぜ?そいつの彼氏はよォ」
はた、と目を丸くさせた途端に私の体にベタベタとまとわりついていた男達が離れてしまう。
肩からは外套がかけられて…そのまま路地の方まで腕を引かれる。
『……よく見つけた、ね』
「…いい女の助けは伝わってくるんだよ。…ボタン止めても?」
『…はい』