第5章 蛋白石の下準備
『…てことは、両想い?え、両想いって何したらいいの?』
「う、初心だ…どうしよう、僕には眩しすぎるッ」
「普通ならそこから告白して交際ってなるはずが、君たちの場合逆だったものね?…あー最悪、あいつ今度もっかい殴ろっかな」
『こ、くは…っ、!!!』
あまりのハードルの高さに、くらりと身体が倒れかける。
挙句の果てには変化して耳と尻尾が生えてくる。
「!その姿…あんた、そりゃ異能かい?」
「白縹は確か、先祖返りなんだそうです」
「先祖返り!!?先祖返りがポートマフィアにって、…考えたもんだね。これは…強い」
単純な力比べだけの話ではない。
先祖返りというだけで付け狙う輩は確かに存在するが、下手に大々的に狙ってしまってはマフィアに報復されるか…はたまた政府から制裁が下るかの二択になる。
私の安全は明らかに以前よりも保証されているのだ。
そして、更にこんな私にはシークレットサービス様まで新たに出来てしまった。
ここまでくると、下手にポートマフィアに手出しする輩も減る…そして政府も、また少し手厚く扱うようになる。
上手いやり方だ。
『…まあ、それでも私を求めてくるもの好きさんも中にはいるらしいんですけど』
ふと、探偵社の窓の外から見えるヘリ。
ガラスが割られる前にそちらに出向いて窓を開ける。
いや、まさかこんなタイミングで来るとは思っていなかった。
ヘリから縦に垂らされた弾幕には、デカデカと私の名前と愛のメッセージを添えられている。
そして、中から首謀者が顔を出し…メガホンで全力の愛の叫びをかましてくれた。
「リッアちゃああああん!!!!君のトウェイン様が迎えに来たよおおおお!!!!♡」
『そのまま落下して死に晒せ、変態マーク』
「辛辣!!数年ぶりの再会なのに酷くない!!?」
「うわ、馬鹿だね」
「馬鹿がいますね」
「リアちゃん、誰あのアホの子?知り合い??」
『知らない。知らないからその辺で可燃ごみにして出しといて?』
揃って酷い扱いに見受けられるかもしれないが、当然の扱いだろう。
いかんせん変質的すぎる。
「リアちゃん、そっち入っていい!?」
『遠慮。ここ私の組織じゃないから迷惑かけるのヤメテ』
「「「常識人だ…」」」
「分かった!お邪魔します!!」
『遠慮しますって』
窓の縁に足をかけた瞬間に蹴落とした。