第4章 培われしは藍晶石の光輝
探偵社のビルまで向かいながら、自己紹介をする。
まあこの人に私の正体がバレるのは時間の問題だろうから、太宰さんを送り届けるところくらいまでは協力しよう。
恐らく私に何か手を上げたりしないようにするため、太宰さんも離れるつもりはないだろうし。
内情調査も兼ねて、だ。
不本意ではあるが、首領からの命令であれば仕方あるまい…協定を結ぶに置いて、取るに足る組織かどうか見極めなければならないから。
まあ、太宰さんの協力を得るべくしての命令だから聞きはするし…直属の上司である中也がゴーサインを出しているからこその行動だけれど。
そうでもなければ、探偵社の構成員とここまで堂々と関わり合ったりなんてしない。
…私はしてもいいけれど、準幹部という立場がそれをあまり良しとはしてくれないから。
「して、白縹…は、学生か?十五歳ならば学校に行っていてもおかしくはないだろう」
「あ、ほんとだ。リアちゃん今日学校どうしたの?」
『…生命系の理学部ある大学に飛び級しようかなって考えてて』
「へえ…成程、少し驚いた。君には確かにピッタリだけれど…誰からの提案?」
『立原君』
そこからか、君じゃ考え付きもしなかったような方法だから、納得したよ。
なんて勝手に納得される。
まあ事実だけれど。
「そうかいそうかい、色々と心配なところはあったから安心した。君はすぐに溜め込んでしまうからねぇ…まあ頭も回るし、学もある。いけるでしょ、リアちゃんなら」
『カゲ様がお金にものを言わせるって、来月高卒認定試験を強引に受けることになったの』
「さっすが青鬼院家…」
青鬼院という名に反応するのは国木田さん。
「青鬼院?…どういうことだ、あんな名家と何か関わりが?」
『私青鬼院家の…詰まるところの養女みたいな扱いで。戸籍とか書類とかないんですけど、お世話になってるんです』
「それは驚いたな。青鬼院家と言えば、聞くところによると先祖返りがまた生まれたとかなんとかという噂があっただろう」
「確かに生まれてたねぇ…ていうか国木田君、リアちゃんもその先祖返りの一人だけど、そのへん分かってる??」
「……なんだと?」
ピシ、と固まる国木田さん。
探偵社には知れ渡っているらしい、先祖返りという存在が。
『まあ、一応』
「…そういうことは早く言え。ボディーガードか何かはいないのか?今は」