第4章 培われしは藍晶石の光輝
『エビフライ美味しい…あと三皿』
「はいリアちゃん、ビーフシチュー」
『あ、…♡♡』
スプーンで食べさせられればまた幸せになる。
口の中が美味しいもので満たされている瞬間は、どうしてこんなにも幸せなんだろう。
「あー、くそ可愛いこいつもう何、餌付けされに来てんすけど飼っていい?飼ってって言ってるよな何こいつ飼いたい」
『飼って中也さん♡』
「あああああもうお前一生ここにいろ」
ぎゅうううう、と思いっきり抱きしめられる。
あ、やばい嬉しいのとか悶えてるのとか全部伝わってきた…伝染しそう。
「惚気プレイかぁ?リアちゃん、オムライスがあと一皿まだ残っているぞ」
『中也さんが食べさせてくれるの待ってるの…』
「いくらでも食べさせてやるからなぁ!!」
…恋人と言うよりは、過保護、だろうかやはり。
なんとなく、そんな気がする。
今は女の子として愛でられていると言うよりは、愛玩対象として可愛がられているような感覚がする。
こっちなら、野ばら姐さんやカゲ様みたいな感じだからまだ慣れてるのにな。
「リア、他に食べたいものは無いのか?先程から気に入った品をリピートしているように伺えるが、せっかくの機会だ。ここは他にも上手い品が多くてな…」
『!…そうね、そういえば………へえ、カレーも美味しそうなのあるんだ』
目に付いたそれは、暫く口にしていなかった品。
口にしていなかった…避けていたとでも言うべきだろうか。
私が食べてもいいよという後押しがなければ、罪悪感で押しつぶされそうになるほどの…
「?カレーが食べたいのか??」
『……いらない。私、カレー嫌いだから』
「珍しいな、お前に嫌いな料理があるなんて」
嫌いよ、こんなにも私を惨めにさせるんだもの。
こんなにも、私に…浮かれるなというように、どこにだってあるんだもの。
「いつから嫌いになったのだ?前はあんなによく食べていただろう」
『あそこの店主は亡くなったから。もうあのカレーはこの世には存在しない』
「…成程な。食べてみてはどうだろうか?それならば」
『……私が食べてもいいと思う?』
変なことを聞く奴だな、と口にするカゲ様。
しかしそれは彼だけではなく、中也からもそのような視線が注がれている。
「食いたきゃ食ったらいいじゃねえか…そういうのって、誰かから許可がいるもんなのか?」