第4章 培われしは藍晶石の光輝
最終的に縄でまとめて縛って、後は探偵社の二人に任せて部屋を後にしようとする。
『お兄さん達、次したら殺すから覚えといて♡』
「そ、そこまでしなくても…」
『ふふ、舐められたら色んな組織からそういうことする輩が出てきちゃうでしょ…一々排除しに行くのも面倒なのよ』
見せしめにならなくて良かったねとだけ吐き捨てて、外に出る。
するとそこで待っていた二人が、ギョッとした顔でこちらに駆けつける。
「お、ま…っ……おい、その頬どうした!?」
『?…あー、掠った。痛がるレベルにならないのわかってたから、避けるの面倒で』
「ばか、痛ぇだろうがそんな…、」
す、と血を指で拭われる。
しかしどうにも乾いた部分や拭いきれない分があるらしく…予期することなく、私は彼にそれを舐め取られてしまった。
『へ、…っ、た……、ン、…っ…ンン、』
傷の周りが、ヒリヒリする。
気にしないようにしてたのに。
外套で隠されている中で、彼の熱い舌が這う。
「…痛ぇんだろ阿呆。血ぃ出てっしふざけんなよ」
『ま、っ…まって、もう舐めちゃ……ッ』
「わざと当たった仕置だ、我慢しろ…逃げんなよ」
脚が崩れそうになるのを、彼に抱き寄せられて阻止された。
次第に耳にまで這い始めた舌に、頭が蕩けそうになる。
最後に首に吸いつかれれば、また二、三箇所ほどにチクリと痛みが走った。
…ちょっと強引だ、今回は。
なんでそんなに怒ってるのよ。
『……、…ぃた、い』
「…悪い。…責めていいぞ、俺が独占欲強いだけだから」
『んん、はぁ…ン…ッ』
撫でるように、詫びるように舐められる。
動物かと突っ込みたくなるような愛情表現だ。
「……立てるか?」
『…立てる、とか……思ってんの…?』
「全く」
外套から解放されれば、すぐに彼の背に背負われる。
へなへなと力が抜けても彼の背中に体を預けることになるだけだ。
「ん?調教済か??」
「手前これ以上リアに下ネタ教えんな、いい大人が」
『…中也、なら…いーよ』
「………今外だから煽んな」
煽ってるつもりは、なかったのだけれど。
引くことも蔑むこともせずに、照れてしまったらしい。
変な人。
それにドキドキしてる私も私だけれど。
『ち、中也さん…やっぱ、やだ』
「…恥ずかしいからって理由なら聞いてやらねえ」
『ど、して…』
「内緒」