第4章 培われしは藍晶石の光輝
有無を言わせず連れて行った先は、いかにも怪しいお兄さん達の屯するビルの中。
裏社会の住人だ。
肥料を使ってあんな爆発を起こしたらしい。
私のわかるこれは推理でも考察でもなく、ただの事実なわけなのだが。
中也にはカゲ様を見張ってもらうべくして外で待機してもらっている。
中島さんと一緒に捜査にあたる金髪の男の人は宮沢賢治さんというらしく、イーハトーヴォ村からやってきたそうだ。
そして私が読み取った限りでは、怪力の異能を保持するらしい。
「…んで、君みたいな嬢ちゃんがなんでうちなんかに?」
『窒素肥料で悪いことしてる挙句にポートマフィアのせいにしようとしてるらしいから??ちょっと武装探偵社のお兄さん達にお願いして取り締まってもらおうかなぁって』
皆まで言ってしまえばざわつき始める皆々様。
「どういうことだよ、そんな情報…証拠があんのかぁ!?」
『証拠ならいくらでも出せますよ。…私、人の心の声が聴けるんです…爆発した車を見れば、どうしてそうなったのかも読み取れる。つまり、お兄さん達の頭を頼りに肥料の出処も掴めるし、監視カメラのデータも抑えられるし…他にやばいことしてる案件全部、その証拠まで洗いざらい露見させることできちゃうんですよね』
例えば、二ヶ月前にどこの組織から武器を少し横領したのか…なーんて。
言った途端に向けられる銃。
二ヶ月前のそれは、ほんの数個だったために誰かのミスだろうと軽く流されたものだ。
が、一度でも犯人に触れられたものが残っていれば私には全て視えてしまう。
首領からは二度目までは泳がせておけと言われているため、放置していたのだが。
『…いいんですか?……私これでも、ポートマフィアの準幹部なんですけど』
「な、に…っ!?なんて厄介な異能力者だ…っ」
異能だなんて一言も言ってないんだけどなぁ。
引かれる引き金。
しかし、その銃弾は私に当たることなく全て私より少し離れた位置で下に落下する。
全て斬ってしまえばなんてことはない。
『弾がどこに、どんな軌跡で着弾するか、全部私には視えてますから』
リーチの長い槍で、一人ずつ、痛い局所ばかりを突いて動けないようにしていく。
途中で一発弾が当たりはしたが、掠る程度だったので避けもしなかった。
「…用心棒って??」
「強いなぁ…それに綺麗だ!!やっぱり都会はすごい!!!」