第4章 培われしは藍晶石の光輝
動悸がすごい。
いや、この人と接する時にこんなことはざらにあったけれど…あったっけ。
なんか、余裕なくなるし。
普段こんなことないのに…変なの。
「寝るって…いや、いいけどどうした?寝不足か?」
『そういうんじゃないですけど、…っ、わ、わかんない、から……ちょっと、中也さん…離れて、て』
「………え、」
「リア、中也殿の心が今完全に折られているぞ?」
『え、なんで…?』
「そりゃあ好きな女から離れてくれなんて唐突に言われたらショックくらいは…」
『へ…え、あ、あああ違うの中也さん!!き、嫌いになったとかそういうあれじゃなくってその…っ』
全力で弁明する言葉を考える。
しかし、不思議なことにどうして一緒にいるのが恥ずかしいのか分からない。
どうして、そばに居ると落ち着かなくなるのか分からない。
嫌いなこと、ないのに。
そんなわけないのに。
「…、ど、どうした…?どっか具合悪いか?」
『!!そ、そう!!具合!!!た、多分心臓病!!!』
「心臓病!!?どういうことだよ、んな話一言も聞いた事___」
『ち、中也さんいると変になっちゃうの…ッ、だからちょっと離れてて!!…く、だ……さぃ、…ッ』
カゲ様の背中に隠れて、それからチラリと彼の方を覗く。
さすがに言葉足らずだったか、と思いきや、彼の表情を見るとショックを受けている…と言うよりは、開いた口が塞がらないといったような。
それからすぐに、何故か彼はカゲ様とアイコンタクトを取るようにして目を合わせる。
「…おい、青鬼院。これは…あれか?……自覚症状が生まれて初めて、やっと自覚出来た乙女って認識でいいのか?俺は」
「まあそれで間違いないだろうなぁ!愛いだろう、はっはっは!」
「……リアー、それ病気でもなんでもねえから戻ってこい。多分それあれだあれ、…俺に懐きまくってそうなってるだけだよ」
『中也さんになんかずっと懐いてるもん…っ』
「俺今すぐこいつと挙式できるかもしれねぇ」
血迷い始めた中也のおかげで少しだけ冷静さを取り戻せた。
『と、とにかくその…だ、めですか…?……!!こ、これもしかしたら発情期戻っちゃったのかもしれないし…な、なんかそんな感じだし……っ!?ち、中也さんに発情とかそんなふしだらな…っ、あ、ぁ…ッ』
「ふしだらでいいよもう可愛いから許す」
「許すのかそこは」