第4章 培われしは藍晶石の光輝
暫くして泣き疲れて泣き止んだら彼のシャツを羽織らされてから、また紅茶を飲ませてもらう。
「ん、落ち着いたか?…頭は痛くない?」
『…いたい。……中也さん気回り良すぎて死んじゃいそ』
「どういうことだよ、人聞き悪ぃぞ。気回しも何も、好きな女がそんだけ思い詰めてんのになんで俺が汲み取らねえんだよ」
ポンポン、と大きなその手で撫でる。
ずっと、撫でててくれる。
『……私、情けないから』
「んなわけあるかよ、年相応ってんだぜ?そういうのは」
『じゃ、あ…も、もし私が中也さんの歳になってもこんなだったら、?』
「んなもん女の方がキツいもんなんだから別におかしなことねえだろ。そもそものハンデが違いすぎる…それに俺は特別子供が欲しいとも思ってないし。焦らなくていいんだよ」
『…中也さんて、なんで子供そこまで欲しくないの?』
「だってほら、俺一途だから」
『………ど、いうこと、?』
よく、分からなかった。
確かに彼が他に目移りしそうにない非常に残念すぎる性格であるということはそろそろ察し始めてきたところだが、それとこれとどんな関係があるのだろうか。
「子供生まれたらそっちに構わなきゃいけねえだろ?俺そこまで器用じゃないし、お前が特に欲しいってならないんならずっとお前の事だけ可愛がっときてえっつってんの」
『は、……は、え…そ、そんなこと…っ、!!?』
「しかも子供にお前取られるとか不可抗力過ぎて俺の充電なくなるし」
『………ちゅうやさんてもう私の事お嫁さんにするつもり、なの…?』
「将来的にそういう予定で交際してもらってるつもりなんだけど?告白し直した方がいいか?」
もういいです、と消え入りそうな声で言ってから紅茶を凄い速さで飲み干して、布団に潜る。
何この人、本当に私のことしか見てないの…自分のこと、考えないの。
そこまで尽くされるような人間じゃないはずなのに。
「尻尾出てますけど?頭隠して尻隠さずってかお嬢さん」
『い、いいい言い方が下品…っ、失礼ね…、…』
「悪い悪い、愛らしくてつい」
『……狐相手に変な事言うのね』
「小狐好きになっちまったからなぁ、お前のせいで」
キュ、!?と思わず恥ずかしさに鳴く。
『さ、ささ魚だし!!ばぁか!!ばぁああか!!!』
「さしずめおとぎ話のお姫様ってところだな?」
『ぁ、…〜〜!!!♡』