第4章 培われしは藍晶石の光輝
『…ん、味見』
「ん?……美味い、けど…何か混ぜた?」
『ホワイトキュラソー』
「へえ。俺が好きかと思って?洒落たことしてくれんじゃん」
余った分の生クリームを先に食べてもらった。
そう、文字通り、彼が好きかと思って試したのだ。
私は好きだから。
「こりゃケーキ様が楽しみに…って、お前それ何持ってきてる」
『ぅえ、?防腐剤』
「食うんだよな?」
『い、いや…わ、私のために作ってくれたんだもの、そんなの永久保存を「食うよな??」……だ、ダメ?』
「そんな顔してもダメです。食べ物は食べてください」
『でもでも、中也が私にくれ「だから、食べなくてもいいものなら…また何か考えるから」…は…い』
ふい、と顔を逸らされる。
けれどそれは照れ隠しだと、彼は表情で伝えてくるから、かなわない。
やばい、ドキってした。
まただ、この感じ…変なの。
「よし、いい子…!そういやお前、洋酒好きなのか?香り付けにそっち使ったもんにしようかそれなら」
『!』
こくこく、と思いっきり首を振る。
なんて嬉しい提案だ、まさかそこまでしてくれるだなんて。
「癖があるから避けてたけど、好きなら問題ない」
いい香りだ。
ほんのり…なのだろうが、鼻のいい私には程よくちゃんと感じられる。
お皿に切り分け、彼にも切り分けてもらい、お互いのケーキを一口。
口の中いっぱいに甘い風味が広がって、そこに洋酒が絡んでくる。
…このにおい、気分良くなっちゃうのよね。
『んん…、えへへ……しわわせ…♡』
「ん?お前のやつめちゃくちゃ美味……ッ、リア?」
『なぁに?』
「…なんか声変わってねえか?」
こちらを覗き込むようにして目をやる中也。
そんな彼にまた腕を回して、よしよしといつも私がしてもらうように撫でてみる。
『中也さん髪やぁらかい……気持ちぃ』
ピシ、と動かなくなる彼。
「あれ?リアちゃんどうしたの?」
「あ〜…洋酒で酔ってんねぇあの子」
「相変わらずの絡み酒!悦いぞ!!」
「は、え…酔って…!?リアさん!!?」
『ちがう…リアちゃん』
驚いてさん付けになる中也さんに言う。
「…り、リア」
『……カゲ様ぁ、中也さんがリアのこといじめる…ぅ…』
「中也殿はリアちゃんの胸が好きらしいぞ?」
「は?なんで手前がんなこと知っ…」
ムニュ、と埋めてみた。