第4章 培われしは藍晶石の光輝
ラウンジに降りれば、質のいい大きなオーブンを使ってスポンジを焼く。
「まあ、後は待ってりゃすぐだろ。…んで?リアちゃん、ひとつ聞いてもいいですか?」
『なんですか?』
「なんでお前までケーキ焼いてんだよ」
そう、焼いたのだ。
中也がワンホール分、私も同じだけ。
『だって、中也さんのはリアが食べるし…中也さんにリアのあげようって』
「ホールでか??」
『…お、多すぎた?……ご、めんなさい余計なことし「喜んで全部食いきるわ」??え、と?』
よ、喜んでって言った?今。
どっちだろう、これ…あ、でも全部食べちゃうんだ。
流石に全部はいらないかなって思いながら作ったのに、全部って言っちゃったこの人。
「エプロン姿のリアちゃん…ッ!!お姉さんが生クリーム食べさせてあげ『生クリームさっき中也さ……中也、に食べさせてもらった』待ってそれどういうことかしら」
『な、生クリームプレイ…?』
「えっ、リアお前マジでやったの?やらせたの中也さんに」
『食べさせて貰ったところで恥ずかしくて中断しました』
「中原?やるなら女体ケーキよ?分かってるわよね…それで上から高温蝋燭みたいに垂らしてッ!!不定期に落ちてくる冷たい感触に涙目になるまで辱めちゃってぇ!!!」
「手前らうちのリアに変態の英才教育施してんじゃねえよ…」
主に雪小路な、と目線を送り付ける。
野ばら姐さんに。
もう一度言おう、野ばら姐さんにだ。
私でなく野ばら姐さんに視線をやるのだ。
『…連勝の阿呆』
「えっ、理不尽…ちょっと中也さん?お宅のリアちゃん拗ねちゃってますけど??」
「あ?なんでリアが拗ねてんだよ…どうした?待ち時間長すぎて腹減っちまったとか?」
『……中也さんが野ばらちゃんばっかり見てるから』
「そうだなぁ、そりゃ俺が悪いわ。お前放ったらかして他の奴見てるとかそんなの俺が悪い以外の何ものでもねえな。フルーツ食う?いくらでも剥く」
「えっ、何あれ過保護…」
「ジェラシーリアちゃん…唆るわね」
全面的に私のせいにしないらしい。
あれ、この人こんな人だったっけ。
このまま放っておいたら物凄い厄介な性格に育ちそうな気がする。
私の前にしゃがんで目線を合わせてきたその人。
『フルーツね…先に中也の方がいいかしら』
「?どうい___」
『ッ…、ご馳走様』
美味しかったよ。