第4章 培われしは藍晶石の光輝
あまりにも涙が止まらない私を気遣って、その気になっていたのを中断してまで、彼は私に好きをたくさん伝えてくれる。
安心するまで待つからと、受け入れられるまで…受け止められるようになるまで待っているからと。
『ふ、ッ……す、き…なの、多分。わかんない、の…分かんない、けど……だいす、き…っ』
「…ん。ありがとな……ありがとう」
たくさん、ありがとうと、受け止めてくれる。
私に足りないものは、人からの愛を受け入れるだけの強さだったらしい。
あまりにもそれが初めてで、満たされると言うよりはそれを通り越して頭が…気持ちが、追いつけない。
嫌じゃないし、幸せなのだと理解はできるけれど、溢れて、零れてしまうらしい。
人に愛されるって、こんなに難しいことなんだ。
誰かの好意を受け止めるのって、心が強くなきゃ出来ないことなんだ。
気付かされた…この人のおかげで、気が付けた。
「目、冷やそうか。腫れちまう…俺の大事な子が」
『……離れ、ちゃう…?』
「…普段はこんなことしねえからな?言っとくけど」
近くに置いてあったタオルに触れて、異能力で操作して。
簡単に、私から離れることなく彼は保冷剤を冷蔵庫から出てきた。
こんなに繊細に扱えるだけでも、やはり彼は天才なのだろう。
そっと目元にタオルを巻いて当てられるそれは、段々と冷たくなってくる。
「…落ち着いた?」
『…うん』
「そっか。…まさか嬉し泣きでこんなに泣かせちまうとは思わなかった。お前ほんと純粋」
『?…私、そんなに綺麗じゃな「綺麗だ。…身体も、お前の心も、全部。誰がなんと言おうとだ…昼間の俺が、ああ言っていてもだ」……そ、…ですか…?』
それなら…嬉しいなぁ。
…どうしてだろう、そっちはすんなり受け入れられる。
ああ、そうか。
初めてじゃないからだ。
だから大丈夫なんだ。
『…生クリーム勿体ないから、ケーキ食べたいって言ったら怒ります?』
「俺お前がケーキになってくれるもんだと思ってたんだからな?…いいよ、喜んで作る。今から?」
『うん、今から。甘いの食べたい気分になっちゃった』
「この時間からケーキか、夜食にスポンジは抵抗ねえの?」
『遠回しに太るって言ってます…?』
「いや?食ってる割にここにしか肉ついてねえから心配してねえよ」
つん、と触れられたのは胸。
『…スケベ』