第4章 培われしは藍晶石の光輝
「今日は、電気消してって言わねぇの?」
『…クリーム、食べるでしょ』
「本気で嫌がんねえのかお前は?…まあいいけど。俺からしたらお前の顔も身体も、ちゃんと見れるわけだし」
『………やっぱりベッドライトだけにして下さい』
ベッドに寝かされたところで、心が折れて懇願した。
無理だ、私にはこんな明るいところで見て貰えるような心の余裕は無い。
「最初からそのつもりだっつの…恥ずかしがり屋な癖に無理させるわけねぇだろ阿呆」
とっとと照明を操作してくれてしまう。
あ、ほんとにしてくれるんだ…ベッドライトも暗いのにしてくれてるし。
しかし、それに安堵したのも束の間のこと。
彼が私を見つめる目が、あまりにも愛おしそうで…吸い込まれてしまった。
気付いてしまった。
私、この人にほんとに大切に思われてるんだ…本当に、愛されてるんだ。
目は口ほどに物を言う、とはよく言ったものだが。
彼はそれで全てを語ってしまうほどには、私を愛しげに見つめていて。
『ぁ、…そん、な見ない、で…』
「……綺麗だよ、リア」
『え…、っきゃ、…ッ…ひ、ぁ…』
頬に手を添えられるだけでも、上ずった声が出て恥ずかしい。
何、それ…何、なんでこんな時にそんな…
「かわい、…口隠されると、キスできなくなっちまうんだけど」
それとも、手にして欲しいのか?
なんて冗談めかして言ってから、手の甲に口付けられてしまう。
やばい、やばいこの人。
色気から何から、普段と全然違う…こんな表情する人だなんて知らなかったのに。
こんな…こんな、顔するんだ、男の人って。
そんなに見つめるんだ…そんなに、自分のものにしたがるんだ。
自然と、目を閉じて…それから、手を胸の位置まで下ろして、何も口にせずに強請る。
するとそれを汲み取って、彼は私にまた口付けた。
しかし何度か唇を重ね合わせてから、言う。
「…抱きついてくれねえの?今日は」
耳が、声に感じてる。
あまりの恥ずかしさに何も返せなくなって、彼の首元に腕を回して恐る恐る抱きついた。
すると彼は私の髪を解いて、それからまた口付けてくれる。
多分…恋人とするキスって、こういうものなんだろうなって。
彼の言っていた…求めていたキスが、ようやく分かったような気がした。
自然と唇を開いて…今日は、ようやく彼の舌を自身の口の中に受け入れたのだ。