第4章 培われしは藍晶石の光輝
「こういうアブノーマルな方法は…怖くねぇの?」
『…痛い、事されてないから……は、初めてされる、からまだ…わかんない、し』
「成程な、覚えとく」
『覚えといてどうするつもりなんですか…?』
「え?お楽しみの幅が広がるなっつってんだよ」
スイッチが切り替わると、私よりも彼の方が乗り気になるらしい。
その実私の事を考えすぎる余りに、後押しがなければまだ踏み込みきれないみたいだけれど、やると言ったらやる人だこの人は。
ちゃんと、任せろって態度で示してくれてしまう。
『……カゲ様が言う肉便「それ以上言うな」…そんな感じ?』
「違う。お前俺の恋人だろ…あとその言葉、使っちゃダメだ。いいか?低俗的に見られるし…そういう事望んでるって言いふらしてるように取られちまうこともある」
『…はい、』
やっぱり、優しいんじゃん。
そんなこと丁寧に教えられたの、初めて。
訂正されるのも、注意されるのも、周りが周りだったから有り得なかったし…誰も私を怒れなかった。
正確には中也も怒ってはいないようだけれど、私にそういう分別を教えてくれるのは善意……と、少しは独占欲のようなものが働いてるのだろうか。
素直に、受け止めたくなる。
「ん、いい子。んじゃ復習、お前は俺の何?」
『従順な犬でいいです…』
「えっと…リアちゃん??」
尻尾が揺れに揺れる。
好き、この人。
溢れんばかりのその感情が行き過ぎて、口が滑った。
いけない、これじゃあそう君と同じ…まあいいか、それもこれもこの人が素敵だからいけないのだし。
「……犬は俺だろ?…お前、犬ってより子猫っぽいんだけどな」
『そ、そういうプレイがお好きならいくらでも従いま「プレイとか言わない」…ごめんなさい』
「癖ついてるもんはしゃーねえよ、何せ周りの人間が揃いも揃ってアレなんだ…謝るほどの事じゃねえ。ま、女の子が使うには変態的過ぎる言葉ってだけだ」
それでもごめんなさい、と言うようにシュンと耳と尻尾を垂れ下がらせ、顔を俯かせれば、可愛いなこの野郎という思いを溢れさせて彼が思いっきり頭を撫でて可愛がってきた。
計算通りだ。
「…ほんとだ、耳触れても辛くなさそうだな。…やっぱり先にモフっていい?」
『……恥ずかしんですけど』
「そうか…じゃあ次の機会にす『い、いいです』…俺ちょっとお前の将来心配だわ」