第4章 培われしは藍晶石の光輝

｢お前、実はキスはそんなに経験無いだろ…反応見てりゃ分かんぞ｣

『…だ、って…初めて、だから……こんな、キスされた…の』

唇とか、身体とか、舐められることはよくあった。
けど、こんな優しくされること…なかったのに。

｢…そういや、この前のあれが初めてだったか。……いいよ、リアの気持ちがついてこれるようになるまでいくらでも待ってるから、俺｣

なのに、彼はしないと言う。
私を待つと、言う。

『意味、分かんな…なんで、？ど、して…』

｢だって俺、お前のこと大事だから｣

『…、ぁ……ﾝ、…んぅ…っ、………好き、じゃ…なくて…？』

一つ、口付けられてから…強請るように、言った。
バレちゃった、バラしちゃった…求められたいの。

｢…好き。すげぇ、好き……仕事で離れてるだけで、もうこれだ。…本当は心配だったし、俺だって…俺の方が強いのになんでついてられねえんだって……充電しねえと爆発しそうだった｣

私の知らなかった彼の感情が、伝えられる。
そんなに想われてるなんて、思わなかった。

知らなかったんだ、彼のこと。

『そ、ですか。…明日も、一緒居られないから……いっぱいリアのこと、充電してください』

｢…もう今日離してやらねえからな、お前｣

『……そういうの、嫌いじゃないです』

やはり、私はおかしくなってしまったようだ。
抱きしめられるの、ちょっと痛いくらいなのに嫌いじゃない。

好きって言われても、今まで信じようともしなかったような自分が…自分からそんな軽薄な言葉を求めるなんて。
自分から、好意を求めるだなんて。

｢お前は、俺の事今はどう？…少しは、前より信用出来るようになった？｣

『…わかん、ない。けど…離れるの、嫌なのは………分かった』

｢へぇ…そっか。…俺ん所にいんの、好き？｣

『え…ぁ、…す…き、…』

｢俺に触れられてんのは？｣

『…っ、……すき、…です…ｯ』

｢じゃあ、俺に可愛がられんのは？…こんな風に意地悪されんのも｣

『ぁ、…♡…す、き…っ♡』

つぅ、と耳を指でなぞられて、それから。

口角を上げた彼は、嬉しそうに…しかしどこか意地悪に、私に向けて確信を持って言ったのだ。

｢リア…お前、Ｓと見せかけてのMってところだろ｣

『！！！……う、ん…中也、さんに意地悪されるの、好き…恥ずかしくされる、の…大好き…♡』