第4章 培われしは藍晶石の光輝
執務室に戻って、ソファーに座らされる形になって…追い詰められたように背を凭れかけさせる。
自分からねだった事だけれど、やはり慣れはしない。
「……緊張してる?…いいよ、キスまでしかしねえし」
『ひゃ、っ…ン……、ど、どどうして私があなた相手に緊張とか…す、するわけないじゃないで…っ、…ぁ…』
頬にを添えられて、そんなことに一々ビクリとして肩を跳ね上げる。
それに加えて親指で唇を撫でられるものだから、そろそろ私の虚勢も限界を迎えそうだ。
「俺は…緊張してるけど」
『へ…』
思いもよらなかった彼の心情。
初めて聞いた、そんなの。
「当たり前だろ、好きな女に触れんのに緊張しねぇわけあるかよ……おい、耳生えてる」
『ぁ、…え、えと…』
「ぷっ、…気ぃ抜けすぎ」
思わず…思わずだ。
くしゃりと笑ったその表情にまた、持っていかれた。
やばい、益々逃れられなくなってる。
私、この人に溺れさせられていってる。
…私なんかの事見て、笑顔になってくれるなんて。
『……ま、だ…ですか…、?』
「…もう欲しいの?」
『わ、わた…ずっと我慢してまし、た…』
「そうだな…素直んなっちまって、全く。……目、閉じてろ」
言われるように、目を閉じる。
リラックスしていろと、言われるように身体からできるだけ力を抜いて…私を抱きしめてきてくれた彼の腕に身を預けるように。
ふに、と柔らかい感触が唇に触れれば、それに何かが満たされ始め、心地よくなってくる。
『ッん……、ふ…ン…』
が、暫くそれが続いていたのに、慣れてきたら私の唇に熱い熱い感触があって。
『っ、!!!』
咄嗟に、恐怖した。
彼の方から顔を背けるように…彼の身体を離すように、身体が反射的に動いたのだ。
「…悪い、怖がらせた。……思い詰めんなよ、誰にでもあることだ、こんなこと」
『……、…指、から…慣らし、て……い、ぁ…えと……な、慣れない事された方が…怖く、ないの』
「!そ、うか。…いいんだぞ?機会を改めてでも…怖いからしないでくれって言っても」
『中原さんが怖いんじゃ、ないから…やだ、そういうの』
貴方を恐怖している訳じゃなく、別の名前も知らない誰かを思い起こして恐怖した。
そんな事のために、この人に尽くせない自分を私は許せない。
「…悪い、結構今のキュンときた」
私の方だって…