第4章 培われしは藍晶石の光輝
結局中也によって大量に買われてしまったそれらを彼が持ったまま、ポートマフィアの拠点へと辿り着く。
今日は海外の御客がいるようだ。
取引…果ては相手の思惑までもを見抜くために、私が呼ばれたというわけである。
私が幹部候補、所謂準幹部に位置するのにもこれが大きい。
私がいれば、全てが分かってしまうから。
「おはよう。ごめんねぇせっかくのお休みなのに……もしかしてデートの邪魔しちゃった?」
『中断した分帰ってから甘やかしてくれるんですって』
「は?手前何勝手なこと言っ『あ、手離した』わあああったよ!!!!」
即座に握り直される手に機嫌を良くしていれば、首領から困惑したような声が聞こえ始める。
「え、ええっと…?…デート、…は、うん?デートだけどその…君達、何かあった??」
『?中也が私の犬になった』
「それ前からでしょう?」
否定はしてあげないんだこの人。
中也もやっぱり苦労人なのね。
哀れみはするけれど、同情することもあるけれど、それでも止められないのが私。
だってこの人可愛いんだもん。
『リードの強度が違うわよね』
「リード言うな」
「え、でも君達その様子じゃあ付き合ってるんじゃないの?」
『はい、上司から強引に迫られて』
「おい待て、それだとかなり語弊あるだろうが」
『俺の女にするっつったのどこの誰よ』
「あれはお前が…っ、文句あっかこの野郎!!?」
『ううん、中原さん可愛いなーって』
手前後で覚えとけよ、というぼやきが聞こえた気がするも、私も首領も笑顔である。
あー楽し。
「へえ、そう。リアちゃん、中也君のこと気に入った?」
『…元々そんなに嫌いじゃないです』
「あらあら、照れちゃって。元々大好きの間違いだったかね」
『悪いですか』
「ううん、よかったねって♡」
この人、放っておいたらどこまで話す気か分からないわ。
余計なことまで言う気じゃないでしょうね。
「元々って…お前元々俺に嫌がらせすんのとか大好きだもんな」
『……中原さんのバカ。単細胞』
「えっと…今のは中也君フォローできないかも?」
「どういうことですか!!?」
そういうのじゃないのに。
べし、と手をはたいて無理矢理離す。
それから腕を組んでそっぽを向いて、何故か悲しくなったのを見ないようにした。
「…ほんと、リアちゃん一途よねぇ」