第4章 培われしは藍晶石の光輝
『な、ん…なかはらさ、……そ、なこと…』
「嘘つかなきゃいいだけの話だろ?それじゃあ何か隠してますって言ってるようなもんだぞお前…ほら、言ってみ。何強請られたって怒らねえよ」
『……いい、の。一緒に、いるだけでいい、から…わがままいわないか、ら…っ、お願い、一緒にいないのやぁ…、やだ、中原さ「待て待て、一緒にいないなんか言ってねえって。落ち着け?な??」…だ、だって私我儘…だから……子供、だから…』
どうしたんだと言うように慌てて、私の頭を優しく撫でる。
…触れて欲しかったの、私。
貴方の手に、触れたかったの。
「いいじゃねえか、我儘言ったら。そのためのシークレットサービスなのに」
『…そういうの、やだ』
「……恋人のお願いも聞けねえ器の持ち主だと思われてる?俺」
『…………中原さんが嫌がること言うよ?私』
いいよ、どうせ嫌がらせとかじゃないんだろ?
なんて、またどうしてか信じきったようにして言ってしまうから。
『な、中原さんが…ほんとのほんとに嫌なこと、言っちゃう』
「いいって。つか忘れてねえか?遠慮したらデート、切り上げるけど?」
『……手、繋ぎたいの』
彼の目が、丸くなる。
拍子抜けしたような、そんな顔。
『なんか…いいなぁって、思っちゃった。…羨ましく、なっちゃって……あの、ほんとにただそれだけだから。中原さんあんまり誰かに触れたりしたくないのも分かってるし、無理しなくていいし、その…』
「…そんだけ?したいこと」
『へ…?…は、はい』
「そうか…それくらいのこと、全然いいさ。……お前が、怖くないなら…いい」
少し、勇気を出したような彼の声と真っ直ぐな瞳。
『…リア、リードしてくれる人が好き』
「……任せろよ、お前の選んだ男に」
する、と呆気なく外される手袋。
まともに彼の手を見るのはこれでもまだ何回か目だ。
私よりも大きくて、しっかりした男の人の手。
その両手に、私の両手が包まれる。
「んじゃ、繋ぎ方のご所望は?」
『繋ぎ方?』
「…とりあえずは普通に繋ごうか。言ったからには離すなよ?…次、服以外にも何か見ようか」
自然と、重ねるように引かれる手。
それに抗うことなく、ついて行く。
安心して、任せられる…安心する。
『…中原さん見てる』
「いつでも見れるだろうが俺は」
『ん、……ありがとう』