第4章 培われしは藍晶石の光輝
ラウンジに出れば、やけに間延びした声が聞こえる。
ああ、また戻ってきたのね残夏君。
「あっ、ちよたん昨夜ぶりー♡」
「友人か…?」
やけにべたべたとそう君にくっつく残夏君。
ちょっと、ひとの従兄に何してんのよ。
『ちょっと残夏君?悪ノリするなら相手くらい選んでくれないかしら』
「あらリアたん♡おはよう!」
『おはようはいいからそう君からは、な、れ、て!!』
ぐいぐい、とそう君にくっつく残夏君の腕を引っ張るも、無駄に力があって私じゃビクともしないらしい。
「し、白縹さん!?そう君て、…」
『こんなのそう君の友人なわけないでしょ、馴れ馴れしくしないでよね!!』
「…夏目さん、そんなにくっつかれてしまっては、僕の妹が妬いてしまいます。どうか、少し離れていただけませんか?リアの眉間にシワがよってしまってはいけません」
「うわぁ、相変わらずのシスコン~…」
あっさりと離れる残夏君。
べし、と一発鳩尾に御見舞すれば、さしもの彼も蹲っておとなしくなった。
「ぼ、僕はそうたんとリアたんの旧友で…グフ、」
「お久しぶりです、ご無沙汰しております夏目さん」
『そう君大好きなのはわかるけどちょっと弁えてくんないかしら??』
「随分な温度差だな…」
「そーたんもリアたんも相変わらずドライ…でもボク君達になら抱かれてもいい…」
「ありがとうございます、光栄です」
「光栄なのか…」
私の場合は反応を返すこともなくスルーだ、こんなバカ相手してても時間の無駄。
と、そこにまた騒がしい…今度は久しぶりに聞く声が一つ。
「おい、敵と馴れ合うんじゃねーよ、どっちの味方だ!!今日こそケリつけてやんぜ狐ヤロー!!」
『あ、渡狸久しぶり。おかえりなさい』
「り、リア…久しぶり。…じゃなくて!!久しぶりだな九尾の妖狐。ここで会ったが百年目ってやつだ……首洗って待ってたか宿敵!!」
『それ私じゃん、私敵なの?』
「お前は元々十尾だろうが!分かってんだろ!?」
口うるさく突っ込んでくれる、いかにも小物臭の漂う同い年の男の子、渡狸卍里。
聞いたところによると、そう君と勝負して決着をつけるために授業をしてきたのだとか。
が、彼の発言に反応を示したのが私のシークレットサービス様。
「十尾…?元々って…」
『…じゃあね渡狸、折角の再会だけど私今からデートだから』