第4章 培われしは藍晶石の光輝
朝食を食べればその後は片付けるものだ。
食器を運んで、洗って拭いて直す、ただそれだけの事。
そんなことさえもをさせてくれないのが、私のシークレットサービスである。
「あ?手ぇ出すな」
『なんでキレ気味なんですか』
「手前の手が荒れる」
『手袋したらいいんですね、わかりま「もしひび割れでもして指切ったらどうすんだボケ、大人しくしてやがれ!!」あーーーもう!!!何その過保護!?なんなのそれ誰の影響!!?』
「水作業は男の仕事だ!俺はそんな仕事を女にやらせるようになんて育てられてねえぞ!!?」
紅葉さんか…!!!
全ての元凶はそこだった。
『あの、そんな風に育てられちゃったら私何も出来ない子に育っちゃうんですが』
「いいんだよ何も出来なくて、俺がするから」
『いや、あのね?花嫁修業のはの字も無いような生活になっちゃうって…』
「だぁから、俺はお前を嫁に貰ったところでさせるつもりねぇっつってんの。俺の方が体力あるし、皮膚も強ぇし、どう考えたって女にやらせるよりその方が合理的だろ」
『私がお嫁にもらわ……!!?…え、あ…そ、そ、う…で、すか……って騙されませんから!?私だって…そ、の……中也、さんは私のご飯、食べたくない…ですか?』
ガシャッ、と音を立ててシンクに落ちる皿。
割れてはないようだけれど、問題はフリーズしている本体の方だ。
「だ、…誰がそんなこと言った!?そんなことねえぞ!!?寧ろ食べたいしお前の手料理とか!!食べたくないとかそんなわけねえだろ!!?」
がばっと肩を掴んで必死に訴えかけてくる。
ああ、成程…今までその発想が無かったのね。
秒で理解した。
『な、なんで考えつかなかったのこんなこと…』
「…誰かに手料理作ってもらうこと、無かったからよ」
あ、私と一緒だ…なんて、どこか安心した。
『そっか。お揃いだ…私は今中也さんのせいで手料理食べ放題ですけど』
「お前はたまにでいいから、ほんと…折角綺麗な手ぇしてんだし」
『だから、それ過保護ですって』
「…気が向いた時だけでいいから。俺がお前の身の回りの世話したいだけだし」
だから過保護だって言うのに。
嫌いじゃないけれど。
『ふぅん?…私、貴方にそうまでしてもらえるほどのことをした覚えがないのだけれど』
「餓鬼は分かんなくていいんだよ」
ふ、と笑われたきがした