第4章 培われしは藍晶石の光輝
本日の予定としては、明日首領がエリスちゃんと(首領曰く)デートをするべく任務も会議も終わらせたいところ。
何やら、海外から使者が来るらしい。
所謂取引を持ちかけられているのだとか。
逆に言えばそれに出席するのは夕方からであるため、それまではゆっくりと残りの休日を謳歌できるということだ。
『中也さん髪乾かして』
「おー、こっちこい。乾いたらちゃんとオイルトリートメント付けっからな」
『…ちょっとは抵抗ないのかしらこの人』
「お前それ全部声に出てっからな?」
いや、だってあまりにもアレじゃないですか。
なんて言葉にさせてもらえないまま、タオルドライを済ませた髪にドライヤーがあてられる。
「ったく、俺が乾かさねぇとちゃんと乾かさないんだからなお前は」
『別に濡れてても傷まないもの、私の髪』
「風邪ひいたらどうすんだよ、こっちは言い訳させねえぞ」
『……でも風邪ひいたら中也さんと一緒にいれるでしょ』
「それとこれとは別だクソ餓鬼、騙されねぇぞ」
本心なのに。
手際よく乾かされてしまえば、しかし乾かした本人から驚いたようなリアクションをとられる。
「お前、髪乾くのほんとはやいよな」
『体質』
「そんだけ長いのにこんなすぐ乾くなんか未だに慣れねぇけど…確かに濡れてても傷まないんだろうな、これじゃ」
自然と食卓(半ば強制的に購入された)に作られた料理を並べ始めたその人だけれど、それを手伝おうとしたら腕をひかれてぽす、と椅子に座らされた。
『…いや、なにしてんの』
「あ?お前は料理作られてる側なんだよ、大人しくしてろ」
『いや、食器くらい運ぶんですけど』
「?なんでお前が自分で運んで自分で用意して、あまつさえ自分で片付けまでする必要があんだよ」
『いや、あの…?私、元々自分でやって「俺はお前のお世話をするんだろう?なぁ、リアちゃんよぉ…?」!!は、はひ…』
簡単に言いくるめられた。
笑顔が黒かった、やばいこの人、絶対やばい。
なんなのこれ、まるでそう君か誰かからいらない影響受けてるような…
食事を並べられれば目の前に彼が座り、いただきますをして自分で食べようと…したところで箸でつまんだ料理を向けて待機された。
「はいリアちゃん、あーん」
『た、楽しんでなぁい…?』
「超絶楽しんでる」
『へ、変態』
…嫌いじゃ、ないけれど。