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赤髪と拳銃女子

第1章 思い出す


シャンクスはナマエを圧倒していた。酔っ払った状態でも、本気になるまでもなく抑え込めていた。
ナマエはというと、繰り出される攻撃に手も足も出ず、なんとか剣を弾き返すことがやっとだった。
そんな二人の手合わせはおもしろくもなんともなく、最初はわいわいと騒がしく見ていたやじ馬たちも白けていった。

「おいおいどうした?船に乗りたいんだろ、仕掛けて来なきゃぁ始まらないぜ」

ナマエはやはり、そこそこ戦える部類だった。
例えば相手がシャンクスではなく、先ほどからかったあの船員くらいならば、いい勝負が展開できただろう。
しかし本気ではないにしても、シャンクスの攻撃をここまで防いでこれた体力は褒めていいものだ。それもそろそろ限界に近いけれど。
細い肩が上下し始め、呼吸が乱れとても苦しそうだ。かわいそうに、そろそろ終わりにしてやろうとカットラスを弾き飛ばした。
武器を飛ばされたナマエは一瞬焦りを見せたが、すぐさまもう一本の剣、ダガーを引き抜いた。
もちろんそれも読んでいたシャンクスによって、構える前にすぐさま弾かれた。
誰もがこの勝負は終わったと確信した。次の瞬間、シャンクスは殺気を感じてその場から飛び退いた。
パンッと乾いた音がした。拳銃だ。
まだ武器を持っていたのかと、ナマエの手元を見たシャンクスは一瞬動きを止めてしまった。
ナマエが握りしめている拳銃が、確かに見たことのあるものだったからだ。

―――シャンクスは、きっと強くなるわ。

月日が経ち、あんなに好きだった女の顔さえ朧気になっていた。
それが今、ゆっくりと、ナマエと重なり鮮明に蘇った。

はっと我に返ったときには、もう一発、引き金が引かれるところだった。
間に合わない。
パァンッと銃声が鳴り、いつの間にか静まり返っていたやじ馬たちが雄叫びを上げた。

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