第9章 閑話 昔語り Byそらる&まふまふ
まふまふside
学舎に入り、数日が経った。
周りの人は僕に関わろうとしない。当たり前だ。僕は兄様に並んでしまった。
兄様を一番ではなくしてしまった。
弟としての役目を果たせなかった。
こんな僕に関わる人なんて居ないだろう。僕は存在する価値なんてないんだ。
昼休みを告げるベルが鳴る。
弁当を持ち、外へ逃げる。こんな所にいても、居場所は無い。
さ迷い歩き、少し学舎から離れた木の下で食べる事にした。
幹に腰掛け、弁当を開こうとする。
「お前、誰? なんでこんな所いるの?」
驚き、上を向く。
そこには、枝に腰掛けている僕と同じくらいの青髪の男の子がいた。
『ぼ、僕は相川真冬です。あなたは?』
「俺は一ノ瀬彼方。他の相川家の人間と食べないの?」
『僕は、兄様を一番では無くしてしまったから⋯⋯。
あなたも、なんでここに?』
「俺も同じだよ。
思い出した。お前は入舎の試しで、俺と同じ最高クラスに入った奴だろ?」
『た、確かにそうですが⋯⋯同じ?』
「うん、そう。
俺も兄さんと同じクラスに入ったから、居場所が無いんだ。俺達、似たもの同士だな」
『似たもの同士⋯⋯』
「うん。だから、一緒にいよう。一人で耐えられなくても、二人なら耐えられるだろ?」
『あ、ありがとうございます』
僕がそういうと、彼は木の上からするすると降りてくる。木登りが得意なんだろう。
降りきると、僕を座らせ、彼も隣に座った。
「一緒に食べよう」
これが僕とそらるさんの出会い。
そんなに面白くないでしょ?