第9章 閑話 昔語り Byそらる&まふまふ
そらるside
次は先代と会った時の話? まあ、いいけど。
学舎にいる間、ずっとまふと過ごしてた。無視される事も、嫌がらせをされる事も当たり前だった。
兄さんを一番にする為に、ずっと全てのテストは手を抜いていた。だから、成績は悪く、落ちこぼれとも馬鹿にされていた。
季節が一巡しようとして、卒舎の試しが近づいて来ていた。
今日は何故か学舎が騒がしい。生徒から漏れでる話を聞くと、今日はボスが来るらしかった。
興味がそそられ、より耳をそば立たせる。
「なんで今日、ボスが学舎にいらっしゃるんだ?」
「有能な部下を見つける為に決まってんだろ。うまくいけば、ボス専属になれる。
でも、今年は最高クラスに何人も相川家や一ノ瀬家がいるからな、難しいか⋯⋯」
「確かにな」
そうだったのか。知らなかった。
確かに当主様はボスの直接の幹部だ。しかし、部下ではない。
彼らは自分のナワバリを持たず、本邸やボスが所有している屋敷を拠点にする。幹部に従う義務はなく、従うのはボスだけだ。
恐らく、ボスは兄さん達を部下として連れ帰るか見定めに来たのだろう。今の学舎で優秀とされているのは彼らだから。
まふと昼飯を食べた後、普通に午後の講義を受けていた。その時の内容は近接格闘で、まふと適当にやってたんだ。
突然入口の当たりがざわついて、組手を止めて、俺らをそっちを見た。
目を奪われた。
人とは思えない程の麗しい容姿、目を引きつけるカリスマ性。
この時だろうな、俺がボスに惚れたのは。
でもそう思っても、近くに行くことは許されない。
教師が挨拶をして、授業は再開された。