第7章 丁か半か
「なんでお嬢は彼らを道具と呼ぶの? 彼らはファミリーでしょ?」
まふまふはそう問いかけた。
確かに私とまふまふ達はファミリー、家族だ。
だからこそ、私が何故天月達を、道具と呼ぶのかが気になるのだろう。
私が口を開こうとすると、天月が口を開いた。
「それは僕達の事を愚弄してるのかな。
確かに、僕達は我が主に貧民街から救って貰った。確かにそれだけだ。他のファミリーとなんの違いもない。
でも、我が主は自らの付き人として、救い上げてくれた。
僕達を拾った事で我が主は先代に怒られていた。一番近くに置くものが敵かもしれなかったんだから。
だけど、こう言って守ってくれたんだ」
「「彼らはファミリーじゃない。私を助けてくれる、大切な道具だ。だから、私を害するわけない」」
「そう、私達は道具なの。ファミリーじゃない。我が主が望む事を果たすためのモノ。
私達は我が主だけに命を捧げ、果てる。それが喜びなの」
天月とクロがそう言い、シーンと部屋は静まった。
思ったよりも重かったのだろうか。しかし、これは真実だ。
彼らは他のものに忠誠心を移すことは無い。正真正銘、私だけの道具。
『まあ、そういう事よ。私にとって、一番信頼できるのは彼らなの。
だからこそ、彼らと共に作戦を進めた。
必ず尻尾を掴む為にもね』
「あいつらは証拠を何一つ残さなかった。さすがに、表社会のバックがある奴らに対し、証拠がないのにこちらからアクションを起こす訳にはいかない。だから、ひと騒動起こしてもらった」
「刺客を我が主に送ってもらい、その全てを記録した。それを使って捕らえた。
表社会でファミリーが目立たない為にもね」
「じゃあ、あいつらは⋯⋯」
「私が捕らえたよ。
今は下の牢に入れている。処分は我が主次第だけれど⋯⋯」