第7章 丁か半か
『なんでこんな事をしたのか。
それはファミリーの為よ。敵となる可能性を持つ者がいるならば、それは排除せねばならない。
先代の娘として、今のボスとして、私は成すべき事をしただけよ』
「一人で抱え込む必要はなかったじゃないですか。僕達に相談ぐらいしてくれても良かったのに⋯⋯」
『ええ、そうね。まふまふの言う通りよ、いつも通りならね』
「いつも通り?」
私はそらるとまふまふをじっと見つめる。
そして、ゆっくりと口を開いた。
『今回、ファミリーを狙ったのは、一ノ瀬家と相川家よ』
「っな?! なんで! あいつらは全員死んだはずなのに!」
激しく感情を表すまふまふと、「有り得ない」という目でこちらを見てくるそらる。
恐らく、二人が思っているのは本家のはずだ。自分達の親が恨んでいるとは知らないはずなのだから。
二人の親達は普通の親だった。
子供達を学び舎に行かせ、勉強や技術を学ばせていたと聞いている。
しかし、それも、二人が学び舎に行き始めた事で変わった。二人は優秀な成績を出し、兄たちと同じクラスに入ることになった。この付近には長男至上主義の考えがある。何でも長男は一番出なくてはならない。二人はこの考えを脅かした。
その結果、彼らは自分の息子を恨み、妬み、蔑んだ。
そして本家を唆し、お父様とお母様を殺したのだ。
『一ノ瀬家と相川家といっても、本家ではない。実行犯は貴方達の兄達よ』
「「僕(俺)の兄⋯⋯」」
『こんな事を公にする訳にはいかない。
側近の死んだはずの実兄が再びボスを狙うなんてあってはいけないもの。
だから、秘密裏に処理をするつもりだった。その結果が今よ』
「俺達を信じれなかったの?」
『ええ、そうよ。
貴方達がどんな行動をするのかが予測つかなかったもの。今のファミリーは危ういの。一つの判断ミスで全てが崩れる。
そんな事する訳にはいかない。だから私の道具達だけで、事を終わらせたの』
「道具⋯⋯なんでお嬢は彼らを道具と呼ぶの? 彼らはファミリーでしよ?」