第7章 丁か半か
天月side
二人はしばらく黙り込む。
無言の時間が続く中、簡易ベッドから物音がした。そちらを向くと、luzが出てきていた。
『は?』
「眠ってる。さすがに疲れたんやろ」
『毒は?』
「「毒?!」」
「大丈夫。ただの睡眠薬。予定と差はなかった」
『ん、なら、良かった』
俺達の会話が終わり、毒について知らなかったそらるとまふまふが問いかけようとする。
しかし、それは電子音によって遮られた。
その音はluzから聞こえてくる。
luzはお尻のポケットからスマホを取り出し、電話にでた。
「⋯⋯ん、お疲れ⋯⋯様は寝てる。⋯⋯⋯⋯うん⋯⋯うん。全部予定通りに行ってんな? ⋯⋯うん、ならええわ。
⋯⋯⋯⋯こっちは全員揃ってるで⋯⋯⋯⋯ん、分かった。気をつけてな」
『上手くいったの?』
「怪我人も特に出やんかったって」
『なら良かった』
「今のは誰なん? まだ何か別の事もやってんの?」
そう坂田は問いかけた。その声は微かに震えていた。
何かを願っているような、そんな声だった。
『別の事⋯⋯うん、まあそうだね。
やってるよ。むしろ、そっちが本命。こっちは囮』
「お嬢が囮⋯⋯? いったい何を⋯⋯」
「説明したいんやけど、それは後で。様が自分で話したいやろうし、そいつも居らんと話にならへん」