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お嬢と孔雀【歌い手】

第7章 丁か半か


体が宙を浮く。


無重力状態はこんな感じなんだろう。


このままでは、数秒後には私は死ぬだろう。そんな事にする訳にはいかない。


作戦通りならば、彼は待機しているはずだ。私を回収する為に。






『天月!』






視界を横切る黒い影。
それは宙に浮かぶ私と交わる。


急に落下が止まり、横に動く。
一瞬、体に大きな負担がかかるが、それも少なくなる。


私は天月に肩に担がれていた。





「、お疲れ様。
銃当たったみたいだね。予定通りluzの所に行くよ」


『天月、ありがと。後はクロだけね』


「クロも無事に終わらせるよ」





天月は壁を伝い、医務室に向かう。
微かに見えるベランダには、USSSの4人がいた。


彼らは下を見ている。
でも、うらたぬきだけはこちらを見ていた気がする。
















「様、怪我は?」


『左の太腿に一発』


「ん、手当する。天月は怪我ない?」


「俺は大丈夫」





天月にソファに降ろしてもらう。
luzの指示に従い、うつ伏せになる。


ワンピースのスカートを捲り、撃たれた所を手当してもらう。
でも、ここに出来るのは出血を止めることだけだ。貫通している為、銃弾を抜く必要も無い。




「毒は回ってるみたいやね。それが麻酔の代わりになっとるけど、どう? 痛みは?」


『少しだけ。それより、体全体がだるい』


「寝とく?」


『少しだけ。全てが揃ったら起こして』






私は微睡みの中に身を宿す。



体がふわりと浮いた気がした。
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