第1章 プロローグ
『天月、彼らが私の元に来るとしたらいつ?』
「早ければ今日の夜には命令が下されるかも」
「早いね」
『初めは護衛か何かでしょうね。という事は、天月はバレないようにね』
「分かってますよ。僕は我が主だけの隠密ですから」
私は天月の顔を見て、深く頷いた。彼なら、彼らなら私の事を護ってくれる。
『クロ、頼みたい物があるの』
「頼みたい物?」
「うん、分かった。手配しておくよ」
クロはちらりと時計を見た。私もつられて目を向けると、かなり時間が経っていた。
「もう晩御飯時だね。は移動しないと。そらるさんとまふまふさんが待ってるよ」
『なら、私は行くわ』
「本性バレないようにね、主」
『当たり前よ。私はか弱い乙女。それ以下でもそれ以上でもないわ』
「いってらっしゃい!」
私は部屋から出る。
しばらく、天月は私の部屋に居座るだろう。この後は組織に潜入してもらうから。あそこが唯一天月が安心できる所だから。
それより、早く行かないと。