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お嬢と孔雀【歌い手】

第7章 丁か半か


柵の上に立つ私。
私を取り囲む奴ら


私達は睨み合う。





『よくやってくれたわね。
でも、私の身も、命も、簡単に渡すつもりはないわ』




私は足に隠してあったハンドガンを取り出す。そして、それを太陽へと向けた。
太ももの傷からは血が流れ続けている。





『私がここで死んだとしても、連れ去られたとしても、ファミリーは全力であなた達を追う。
血縁関係も含め、塵も残さずこの世から消す。今頃自覚したって遅い』





奴らは動かない。機を伺うしかない。
私が何を考えているのかが分かっていないから。


下手に銃を撃ち、その反動で私が落ちてしまっては意味が無い。


かといって、逃げるわけにもいかない。


もうやるしかないのだ。どちみち、このままでは自分達は死ぬ運命にある。


奴らができるのは、私を捕らえる方法を考える事だけ。







『せめて私を連れ去って人質にでもしたかったのでしょうけど、残念。
全て私の手の内なの。
あなた達がここに侵入してくるのを含めてね』




奴らはジリジリと距離を詰めてくる。
私の逃げ道は飛び降りるしかないからだ。


生身の人間がこの高さから落ちたら、どうやっても助からないだろう。


自分で死ぬはずがない。
そう考えているのだろう。


私はか弱く、お淑やかなお嬢様だから。
そんな勇気はあるはずないから。






『ふふっ、馬鹿じゃないの? 逃げ道がないから簡単に捕まえられるって? 本当に救いようがないわね』





『茶番はもう終わり。
そろそろ終わりにしましょう』




私は引き金を引き、太陽に向かって銃を撃ち込む。





バンッ





「「「「様!!」」」」





その音を聞き、開く扉。
私のハンドガンは大きい音が鳴るようになっている。
廊下まできちんと聞こえてくれたのだ。


USSSは全員居たのか、入ってきた。


だけど、その光景も見えなくなる。













私の体は宙に舞った。
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