第7章 丁か半か
パラ
パラ
パラ
静かな部屋にページを捲る音が響く。
ガチャ
耳が捉えた、ありえない音。
今は誰も来る予定はない。
私は静かに立ち上がり、ベランダに向かう。
さっきの音は誰かが通路に侵入してきた音。
すぐにこの部屋までやって来るはずだ。
外に出ようとした時、緊急用の脱出通路から黒い服の集団がなだれ込んできた。
手に持っているのは銃。弾には睡眠作用の毒が塗られている筈だ。
天月によると、当たれば大型肉食獣でも一発で眠りに落ちてしまうらしい。
よく見るとサイレンサーも付いている。
部屋の防音とも相まって、撃たれても外のUSSSが気づくことはないだろう。
そんな事を思っていると、奴らは私を追ってベランダへと向かってくる。
囲まれるのを防ぐ為、柵に近づいた。
壁際に行ってしまっては、それこそ逃げるところがなくなってしまう。
その間にも、何発も銃弾は私を狙って撃ち込まれる。
柵に着くかどうかといった時、左足の太ももに弾が当たった。
筋肉の間に入り込み、異物が入って来る。
弾は貫通したのか、血が止まらない。
あまりの痛みに顔を顰める。
その間にも、奴らは私を捕らえようと距離を詰めてくる。
薬のせいか、少し意識が遠くなる。
しかし、私は気にせず柵の上に立った。