第6章 賽は投げられた
うらたぬきside
静かな廊下。
クロも自分の部屋に下がり、誰もいない。
様も扉の向こうでお休みになられているだろう。
動く気配は感じられなかった。
窓からは月光が差し込んでいる。
それが今の明かりだ。
どうしても、昼間の事を思い出す。
あの時、上から降ってきた天月。
服に隠され目しか見えなかったが、その目つきは真剣で、本当に様を連れ去ろうとしているように見えた。
味方だと分かっていても、足がすくんでしまった。
それほど、本気で、様を狙っていた。
あの時、首に当てていたナイフは首を薄く切っていた。
様の立ち回りによっては深く切ってもおかしくはなかった。
これからのことを考えると憂鬱になる。
計画は完璧といえど、不確定要素は幾つもある。
もちろんズレなど作るつもりはないが、心配だ。
好きな人を危険に晒す。
こんな行為が一番したくない