第6章 賽は投げられた
ガチャ
鍵を閉めていたはずのドアが開いた音がする。被っている布団の隙間から、枕を投げた。
「危ないやん。
ここに居る奴らはみんな味方。今まで様を守ってきた。やけど、信頼できへん?」
『なら、なんでこんな目に合わないといけないの! 私を、ボスを守りきれてないじゃない!』
「皆一生懸命頑張ってる。やけど、それを認めることもできやんの?」
『命なんて結果論よ。落としたらそれで終わり。だから、一度の失敗ですら許されない。それくらい、luzも分かっているでしょ?
目の前で部下が亡くなっているのを何度も見ているんだから!』
「確かに、一度の失敗で人は死ぬ。ここはそう言う世界。
やけど、俺達は背中を預けられる仲間がいる。そいつらを信頼してる」
luzの言いたい事が分からず、布団から顔を出した。
luzはベットに腰掛け、私の方をじっと見ていた。
「確かに様は自ら望んでこの世界に入ったんじゃない。
やけど、それは俺も、そらるも、まふも同じ。俺達はそういう家に生まれてきた。
USSSの話を聞いて、外の世界が羨ましくなったんやろ? やけど、俺達が生きるのはこのマフィアの世界。ボスたる様がファミリーから抜けるのは許されない。
それは、分かるよな?」
『そ、それは⋯⋯』
確かに、理解している。
私はボスの娘。逃げるなんて許されない。そんな事、わかっている。
でも、死ぬのは怖い。そうとすら思ってはいけないの?
『分かったわ⋯⋯
でも、籠るのはやめない。luzとクロなら入っていい。
後は頼むわ』
「無理はしやんといて、様」
「やっぱり、様は演技が上手いな。でも、どこまで演技なんやろ?」