第6章 賽は投げられた
そらるside
部屋の前に着くと、USSSだけでなく、メイドのクロもいた。
『クロも追い出されたの?』
「はい、一人にさせてとのことで、出てきました。
廊下に出た時にセンラ様とお会いし、状況を聞いたのです。部屋に入ろうとしたのですが、既に鍵が掛けられていて、入れません」
『そう。本当に籠ったの』
正直、嘘だと思いたかった。
でも、クロまで追い出されている。これは本気なのだろう。
こうなったのは二度目だ。
前の時は、先代が亡くなられた時。
お嬢は全てを拒絶し、否定した。
前と同じ方法で治ってくれればいい。
そう思い、坂田に彼を呼ばせに行かせた。
「坂田から事情は聞いたけど、なんでまたこうなってんの」
luzは着いた途端、俺達に向かって静かに怒っていた。
当たり前だろう。
俺達はお嬢を護ると決めていた。だけど、守れていないのだから。
「もう二度と、様をあんな状態させやん。そう約束したはず。なのに、なんでこうなってんの。答えてよ、そらる、まふまふ」
「それは⋯⋯」
「護衛だったのは俺達です。そらるさんとまふまふさんには責任はありません」
「うらたぬき、うるさい。責任は側近頭の二人にある。
で、なんでなん?」
luzはじっとこちらを見つめた。
こんなluzは久しぶりに見る。
この顔はluzが幹部だった時以来だ。
先代が無くなられ、医者兼幹部として心理学を専門に学んでいたluzは、お嬢の為に本邸の医師となった。
そして、まだ若いながらも側近となった俺達のバックとなってくれた。
ああ、くそ、自分の弱さが悔しいな。
『俺達が侵入者の処理と対策を完璧に出来てなかった。それが原因』
「なら、今度は完璧にして。
クロと俺ぐらいは入れるように説得してくるから」
そう言い、luzはマスターキーを使って部屋に入っていった。
色々と音が聞こえてくる。お嬢が暴れているんだろう。
だけど、俺達がやるのはここで待つことじゃない。
もうお嬢を危険な目には合わせない。
俺とまふまふは扉に背を向け、自分達の執務室へと向かって歩き出した。