第6章 賽は投げられた
まふまふside
侵入者の身元を調べ、送ってきた組織に制裁を与える。
そんな事を繰り返していると、お嬢と会える時間は無くなっていた。
USSSに護衛を任せているとはいえ、お嬢は僕達の妹のような存在だ。
お嬢の笑顔を最後に見たのはいつだろう?
久しぶりに会いたいな。ゆっくりお喋りしたいな。
考え事をしながらも、手は書類を捌いていた。
向かい側のそらるさんの机にも同じような量の書類が積まれている。
今日もまた、徹夜に近いだろう。
部屋の中で二人、無言で手を動かし続ける。
静かな部屋に、突然それはやってきた。
「うらたぬきです、失礼します!」
いつも冷静な彼とは違い、慌てている。
何か嫌な予感がした。
「様の散歩中、侵入者に襲撃され、一時的に様は人質になりました。
その後、俺達が助ける事無く逃げ出されたのですが、俺達に失望され、部屋に籠われてしまわれました」
『待って、中庭まで侵入されたの? それに、お嬢が人質に?』
「はい、そうです」
「侵入ルートは全部潰していってるのに、見張りは何を⋯⋯」
『そらるさん、見張りのことよりも、お嬢が⋯⋯』
「ああ、そうか。とりあえず、お嬢の所に行こう」
書いている途中の書類を放り出し、お嬢の部屋に向かう。