• テキストサイズ

お嬢と孔雀【歌い手】

第6章 賽は投げられた


「雨が降ってきそうですねー」


『確か、明日からは雨だったかしら?』


「はい、そうです。しばらく雨が続きそうですね」


『ちょうど花が咲いたばかりなのに、すぐに散ってしまいそうだわ』




狙撃されにくい中庭で、散歩をしていた。護衛は予定通り、うらたぬきとセンラだ。


私は二人から離れ、端にある花壇に向かった。
腰ほどの高さのそこに腰掛け、小さな花を手に取った。



二人が私の近くに来ようとした時、風切り音がした。



上から聞こえてくるその音、私達三人は上を見上げた。



黒い服を纏った男が落ちてくる。



彼は私を小脇に抱え、その場から離れようとする。




『い、いや! 』


「様!」


「お前、何もんや!」




二人は逃がさぬように私達を囲う。
私が暴れようとすると、首筋にナイフを当てられた。


恐怖の余り、動きを止める。
死を身近に感じる。


ジリジリと、二人は距離を詰めてくる。


ここは四方を建物に囲まれている。彼は横にずれるが、壁際に来ただけだ。


完全に私達の動きが止まる。





膠着状態だろう。彼も、センラ達も、動く事が出来ない。


/ 107ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp