第5章 不穏な空気の中
坂田side
様が医務室に行かれ、センラと二人で護衛部屋に戻る。
あのクロというメイドは違う所に行っているのか、部屋にはいなかった。
いまなら、聞けるやろか。
『なあ、センラ、少し聞きたい事があるんやけど』
「聞きたい事? 坂田が珍しいね」
『うん、昨日気になる奴らがおってん』
「どんな奴?」
昨日見た奴の容姿を詳しくセンラに伝える。
センラは記憶にないのか、しばらく考え込んでいた。
「うーん、思いだせへんなぁ。なんかバッジとかなかったん?」
『遠目から見ただけやから、細かいのはなぁ⋯⋯⋯⋯』
やっぱり、こんだけの情報やったら誰か分からへんか。
多分、様と喋ってへんしな。
ん、という事は、逆に喋ってへん人の中に居るって事やろ。
様は昨日ほとんどの人と喋っとったから絞り込めるかも⋯⋯
『なあ、センラ。昨日様と喋っとった人は覚えとる?』
「大体の人は覚えとるよ。なんで?」
『多分やけど、そいつらは様と喋っとらんねん。やから、絞り込めるかなって』
「それならやれると思う。名簿もらって絞り込んでみるな」
そう言うと、センラは電話をかけ始めた。
昨日の主催者に電話を掛けているみたいや。
センラがやるんやから、名簿は貰えるやろ。
数分後、センラは電話を切った。
『どうやった?』
「貰えるのは貰えるんやけど、名簿をデータ化してへんから時間かかるって」
『ん、よかったー。でも気になんなぁ』
「そいつらが侵入者の大元かもな。はよ特定したいわ」