第5章 不穏な空気の中
先程のソファに戻り、luzの隣に浦田が座る。
うらたぬきには全て聞かれている。もう、誤魔化す事は出来ないだろう。
かといって、始末なんて出来るはずがない。彼は私にとって守るべきファミリーだ。
なら、取り得る選択肢はひとつしかないだろう。
うらたぬきをこちらに引き込む。
それしかない。
『じゃあ、何から聞きたい?』
「何から⋯⋯⋯⋯先代の仇ってどういう事ですか?」
『そのままよ。生き残りがいるの』
「でも、あの血筋はそらるさんとまふまふさん以外は死んでます」
うらたぬきは感情を高ぶらせる。
当たり前だろう。本来はありえないことなのだから。
「一ノ瀬家も相川家も事実上は滅亡しています。あのふたつの家に動きはないです」
『でも現に二人が生きてるのよ。大体の動向は掴んでる。
でも、証拠がないから捕まえられない』
「マフィアの関係者なら死んでも騒がれないでしょう。なら、ファミリーを動かして捕らえてもいい」
『無理なの。表の世界で地位を確立してる。証拠がないと、ファミリーを危険に曝す事になる。そんな事をするわけにはいかない』
「そんな⋯⋯」
『だから、彼らを捕らえる為の作戦を邪魔されたら困る』
「その作戦で死ぬ可能性があるんですか?」
『⋯⋯⋯⋯ええ、そうよ』
しばらくの沈黙の後、私はそう答えた。
確かにこの計画では死ぬ可能性は大いにある。だが、対抗するあらゆる手段を打つつもりだ。
でも、このリスクを背負わねば彼らを捕らえる事は出来ないだろう。
私は必ず、ファミリーを守る。