第4章 噂の広まるパーティーにて
センラside
さすがやな。
様に対して、そんな言葉しか出てこない。
相手の人数が多いのに、それを感じさせない応対。とても細やかな気配り。
そのコミュニケーション能力はファミリーのお嬢という地位がある事で、最大の力を引き出されてるんやろな。
情報担当として、人と応対する事を専門にしている者として、その能力は尊敬するしかない。
時折会釈をし、周りに注意を配る。
本来の目的は護衛。様に見蕩れて、これを疎かにしたらあかんやろ。
ふと隣の志麻くんの顔を見ると、悩ましげな顔をしていた。
様達に気づかれぬよう、こっそりと声をかけてみる。
『志麻くん、どうしたん?』
「ん、いや、なんでもない。ちょっと考え事してた」
『しゃんとしてや。護衛の任務中やで』
「悪ぃ」
そう言っても、志麻くんの顔はどこか曇ったままやった。
やけど、今はこれ以上は言えんな。
変な行動はあまりしやん方がいい。
それよりも、気になるのは周りの声。
そらるさんとまふまふさんの予定通り、上手く婚約者の噂が広がっている。
まあ、噂ではなく真実なのだが。
様をオトす為、どう動くか。
しっかり考えやんとなぁ。
昨日の買い物も、志麻くんといい感じになってたし。
はー、どうしよ。
考える事いっぱいやわ。