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お嬢と孔雀【歌い手】

第4章 噂の広まるパーティーにて


志麻side


主賓の挨拶が終わり、再び人が様を取り囲む。


しかし様は怯むことなく、丁寧にそれらに応対を始めた。




「様、お久しぶりです」


「お久しぶりですね。お元気にしていらっしゃいましたか」


「ええ、何も悪い事などありませんでした。様はどうでしたか?」


「私も悪い事はありませんよ」


「そういえば、今日の護衛はそらる様とまふまふ様ではないのですね」


「彼らも忙しいのです。最近の護衛は彼達ですよ。志麻とセンラです。以後お見知り置きを」




様は俺たちに視線を投げた。
挨拶をしろという意味だろう。


俺たちは軽くその人達に会釈だけをする。


様は満足げにこちらをみた。
口を開かなかったのが正解だったんだろう。




「こちらこそ、よろしくお願いします。
あれ、先程は四人居られましたよね?」


「彼らは四人で一チームです。ですが、四人もいるとご迷惑をかけるので、二人は会場の警備を手伝うように言っておりますの」


「なるほど。さすが様ですね。そこまで気がまわるとは」


「いえいえ、そんな事ございませんわ」






よく口が回るな。
だが、雰囲気は確かにお淑やかだ。


柔らかくフワフワとした、何も知らないお嬢様。


これが様の被っている仮面で確定。


本性はおそらく頭が回るタイプ。
あの暗殺者をつかい、裏から色々な事をしているんやろ。


そういや、最近裏切り者が殺されていた。
それはあの暗殺者がやった事なら納得できる。


だけど、これを使ってどう動くか。


この事を他の皆に言うか、様を脅すか、はたまた⋯⋯



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