第4章 噂の広まるパーティーにて
人の波は絶えることがなく、代わる代わる人がやってくる。
そんなにもファミリーの力が欲しいのだろうか。私自身に興味なんて無いだろうに。
そう思いながら口から出るのは上辺だけの言葉。相手もそうだろう。私を持ち上げ、取り入るための言葉。
ちらりとドアの所を見ると、交代の二人が来ていた。時計を見ると交代の時間だ。
私の視線に気づいたのか、取り巻いていたもの達もそちらを向き、ざわついた。
まあ、婚約者の噂が広がっていたから当たり前だろう。ここに全員揃ったのだから。
私は志麻とセンラに視線を向ける。二人は意味が分かったのか、私から離れうらたぬきと坂田が私の元にくる。
『ご紹介致しますわね、うらたぬきと坂田ですわ』
私がそう言うと、女達が更に強く擦り寄ってくる。
彼ら四人が婚約者と明言されていないのに加え、二人は雰囲気が志麻とセンラに、比べて柔らかいからだろう。
あわよくば、自分がファミリーの側近の妻に、とも思っているのだろうか。
馬鹿にしないでほしい。
ファミリーは家族だ。
特に側近とボスの関係は特に濃い。
だからこそ、側近の結婚はボスの許可がいることになっている。誰が権力目当ての女に大事な家族を渡すのだ。
そんな事、許可するはずがない。
ファミリーはお父様が遺してくれた家族。
彼らを守るのが私の役目。それは変わることは無い。
たとえ形だけのボスであろうとも、私は私なりのやり方で家族を護る。
それが今の私にやれる事。
だから自分を偽ってもやり遂げる。