第4章 噂の広まるパーティーにて
「様、出発のお時間です」
ノックの音がし、うらたぬきの声が聞こえた。
私はパソコンを閉じ、ソファから立った。
クロにボレロを着せてもらい、部屋から出る。
廊下にはうらたぬきと志麻が待っていた。
彼らの服装はいつもの緑のシャツと黒のスーツではなかった。
うらたぬきは白のシャツに緑のベストとジャケット、志麻は紫のシャツにグレーのベストとジャケットを着ている。
少しラフだが、ドレスコードとしては遊び心もあっていいだろう。
『行きましょう』
彼らを引き連れ、階段を降りる。
何人かのファミリーとすれ違い、彼らは私にお辞儀をする。
私はそれに手を挙げる事で返していた。
そんな中、うらたぬきが私にはなしかけてくる。
「お買いになった髪飾りはそれなんですね。似合ってますよ」
『そう? 似合っていたら嬉しいわ』
「ええ、お似合いですよ。昨日のお買い物はどうでしたか?」
『とても、楽しかったわよ。あと、志麻が意外と気遣いが出来るのが驚いたわ』
「それは俺が粗暴に見えるって事ですか?」
『粗暴と言うより無愛想ね。だから、付き添いの予定を変えちゃった』
「予定を変えた? そらるさんとまふさんには様に従え、と言われてますが」
『詳しい内容は車で話すわ。坂田とセンラにも伝えないといけないし』
そんな事を話している間に車に着く。今日の車は大きいリムジンだ。
こんなに大きな物にする必要はないのだが、私のボスとしてのメンツの為に必要なのだろう。
まあ、五人乗るというのもあるが。
車の前で待機している二人。
坂田は赤のベストにチェックのジャケット。
センラは白のシャツと黒のジャケットだった。
思わずじろじろとセンラを見てしまう。
意外だ。センラも遊び心のあるドレスコードだと思っていた。なのに、こんな真面目なコーデだとは。
「どうしました? なんか変です?」
『いえ、真面目すぎて驚いただけよ。大丈夫、出発しましょう』
「? 分かりました。どうぞ」
センラがドアを開けてくれ車に乗り込む。
彼らも乗り込み、車が動き出した。