第4章 噂の広まるパーティーにて
ドレスを纏い、髪を飾り、化粧をする
それが私の装備。
ファミリーを守り、ファミリーを率いる、ボスとしての私。
「はい完成。どこか気になる所はございますか?」
『いや、大丈夫よ。いつもの通り完璧だわ。クロ、ありがとう』
「いえいえ、こちらこそ。お時間までどうしますか?」
私はちらりと時計をみる。
そこに示されている時間は、家を出るまでかなり時間がある事を示していた。
これならば、天月からの報告を見る時間もあるだろう。天月も今日の動きを連絡している筈だ。
『んー、そうね。パソコンの準備をよろしく』
「かしこまりました」
クロはテーブルにパソコンの用意をし始める。
私はドレッサーの前から、大きな鏡の前に移動する。
パステルピンクのフィッシュテール、クロのメイク、緩くまとめられた髪、そして志麻、センラと買いにいった髪飾り。
これならば、世間の事をよく知らないお嬢様に見えるだろう。
テーブルに向かい、天月からのメールを開く。
そこに書かれていた内容は、私を悩ませるのに充分だった。
『ねえ、クロ、聞いて。今日はあのお方達がいらっしゃるらしいわ。話せるかしら?』
「本当ですか? お話出来たらいいですね。楽しみされていましたし」
『ええ、どうにかして、会話をさせて頂こうと思うわ』
クロと話しつつ、天月からのメールを読む。他の情報はホールの見取り図や参加名簿ぐらいで、気になる物はない。
結びの文以外は。
〈俺も見張りとして、パーティ会場にいるから!〉
見張りとして⋯⋯
潜入は上手く言っているみたいだ。
だが、気になるのは志麻との事。
志麻に天月が見られる可能性はあるだろう。その場合、天月の事を探られる可能性がある。
そこから、もし、私の目的がバレたのなら⋯⋯