第3章 四人の護衛
志麻の言葉を聞き、一瞬手が止まってしまう。私の顔を覗き込もうとしている彼を見て、慌てて表情を取り繕った。
『なんの事よ?』
さっき、志麻は「騙す」と言っていた。もしかして、裏の顔に気づかれた?
何も知らない、無垢な娘を演じていた筈だ。私の演技に襤褸はないはず。
志麻は、再び服をあさりながら話し始める。
「前、ファミリー内で裏切り者が出て、俺は単独で始末に行ったことがある。スコープに相手の頭を捉えて撃ち抜こうとしたその時、邪魔が入った。恐らく暗殺者やったと思う。
スコープの中、微かにうつった奴の足首、そこにはが今付けてるアンクレットがあった。
最初見た時、偶然かと思ってた。やけど、昨日見たメイドも同じアンクレットを付けてた。
あれは、の物である証やろ? なら、あいつもの駒になる。
という事は、は誰にも知られてない裏の一面があるんやろ」