第3章 四人の護衛
私がそう言うと、二人は慌てて私を諌めてきた。人の目もあるショッピングモール、当然、ファミリーの者もいるだろう。
そんな中で、護衛として扱われる自分達がファミリーのボスたる私に気楽に接していたら⋯⋯
少なくとも、ファミリー内で審議にかけられることは間違いない。私からなので罪に問われる事はないだろうが、しばらくは居心地が悪いだろう。
「俺達が様を呼び捨てにするのはあかんですって!」
「しかも、タメ口なんて。俺達の命がいくつあっても足りませんよ!」
『えー、でも、なんか嫌だもの』
「嫌でも諦めて下さいっ」
「俺達の為に!」
『うーん、そうねー。なら、少し早いけど、これをあげるわ。これで大丈夫でしょ?』
私はバッグの中から、二つのピアスを取り出した。一つは紫、もう一つは黄色のジェイダイトがついている。彼らのイメージカラーだ。
元々は買い物が終わった時に渡すつもりだったが、まあいいだろう。
これを見た瞬間、彼らの表情が変わる。まあ当たり前だ。なんせ、これは⋯⋯
「側近の証⋯⋯」
「俺達に?」
『うん、そうよ。昨日の夜届いたの。ほら、付けて。これをしていたら大丈夫でしょ?』
彼らはおそるおそるこれを付けた。志麻は右耳に、センラは左耳に。
この後うらたぬきと坂田にも渡す予定だが、彼ら以外にこのピアスを持つのはそらるとまふまふのみ。
このピアスを持つには、ボスから与えられる他ない。ボスに気に入られなければ、側近にはなれないのだ。
まあ、今回はそらるとまふまふに渡せと言われたのだが。
『じゃあ、行きましょう。志麻、センラ』
「はいはい、」
「可愛いの選んであげますからね、」
『あ、センラ、敬語!』
「俺、常に敬語ですもん。こんくらい許して」
『なら、呼びね』
「分かりましたー、」